インテリアの仕事をしていると、時折ハッと息をのむ瞬間があります。
自分の想像をはるかに超えた素晴らしいコーディネートを実現された
お客様には、商品を納める側であることも忘れて思わず「素敵ですね!」
と声を上げてしまいます。
もう7、8年前のことです。いつものように出来上がったカーテンを吊りに
お客様のお宅へ。日中お仕事をされているため、お伺いしたのは辺りが暗く
なってからでした。
少し押さえ気味の薄暗い照明の玄関をあがると、まだお食事の準備をされ
ているはずのLDから、驚くほどリアルでやさしいピアノの音色。
あれ、リビングにピアノなんてあったかな??
と、本気で思ったことをはっきりと覚えています。
それほどに存在感があり、近くに感じることのできるピアノ。それが僕の
ペトルチアーニ初体験でした。
オーダーカーテンだからある意味当たり前と言えばそうなのですが(笑)、
そのカーテンはこのお部屋にかけられることが決められていたかのように
自然となじんでいき、やがてそのお部屋に以前からあったみたいに
溶け込んでいきました。今はもう販売が終わってしまった、深いグリー
ンの地模様のカーテンでした。
カーテンをかけるときは脚立に乗っているので全体が見えないのですが、
下に降りて一歩下がって見たときに思わずため息が出たのは、カーテン
の美しさだけが理由ではなかった気がします。